・・・フリードリッヒ大王や、ゲーテの事蹟は斯学の対象として、いつまでも研究をつづけていかれる。 社会主義の倫理観は一種の社会的幸福主義である。そして経済条件をその幸福の基礎とする点において、物的福利を重んずる。それが実質的、現実的、社会的であ・・・ 倉田百三 「学生と教養」
・・・それだけならば、まだしもであるが、困ったことには、各自が専門とする部門が斯学全体の中の一小部分であることをいつか忘れてしまって、自分の立場から見ただけのパースペクティヴによって、自分の専門が学全体を掩蔽するその見掛け上の主観的視像を客観的実・・・ 寺田寅彦 「学位について」
・・・こうした独断的否定はむしろ往々にしていわゆる斯学の権威と称せられまた自任する翰林院学者に多いのである。例えばダイナモの発明に際してある大家がその不可能を論じたにかかわらず電流が遠慮なく流れ出したのは有名な話である。また若い学士が申出したある・・・ 寺田寅彦 「西鶴と科学」
・・・自分にはこの二つの態度がいつまでも互いに別々に離れて相対しているという事が斯学の進歩に有利であろうとは思われない。むしろ進んで、暗合的なものと因果的なものとを含めた全体のものを取って、何かの合理的な篩にかけて偶然的なものと必然的なものとを篩・・・ 寺田寅彦 「比較言語学における統計的研究法の可能性について」
・・・自分は現在の物理学の概念をことごとく改造して従来よりもいっそう思考の経済上有利な体系ができうるかどうか到底想像する事はできないが、しかし少なくも物理学の従来の歴史から見て、斯学の発展と共に種々の概念が改造されあるいは新たに構成されまた改造さ・・・ 寺田寅彦 「物理学と感覚」
出典:青空文庫