・・・日本の婦人が、人民の生活の安定と平和とのために尽瘁しなければならない部面は日に日に多くなって来ている。 一九四七年十一月〔一九四七年十二月〕 宮本百合子 「再版について(『私たちの建設』)」
・・・目前の食糧問題という全くの公的課題を、忍耐ふかき日本の人民は、日に日に枯渇して来る各自のいとささやかな財布と、道徳的堕落を伴う要領、才覚によって、やりくっているのである。 日本が民主的自主的政治の能力を示して、世界に、自立的民族として存・・・ 宮本百合子 「逆立ちの公・私」
・・・ドイツの人々が、日に日に増大する黒衣の女性をみて、ナチス政権がしかけた戦争が、そのようにドイツ民族を殺しつつあることを知るのをおそれたのであった。日本でも、戦争中戦傷者の発表が奇妙な形で行われた。だんだん小きざみに、部分的に、私たちには総数・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・夏の頃日に日に伸びるそのおかぼ畑の中で、大理石の鴎外は無帽の髪に夜つゆをうけていた。住む二階を観潮楼と名づけた、その家と庭との工合からも、勢よく上にはねた髭をつけた鴎外の顔は、果もない下町の廃跡に向って立っている。きっと、頼んだひとのこのみ・・・ 宮本百合子 「田端の汽車そのほか」
・・・林房雄、中河与一氏などが音頭とりで、名称も懇話会よりは一層鮮明に、一傾向を宣言したものである。日に日に新たなる日本であるから、新日本主義も響きとして生新なようでもあるが、日本文学を新たな角度から把握しようとするその態度・方向においては、その・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
出典:青空文庫