・・・載籍以来の昔より今日並に今後迄一行に書き将ち去るべき歴史の本項なり。初生の人類より滴々血液を伝え来れる地球上譜※の一節である。近時諸種の訳書に比較して見よ。如何に其漢文に老けたる歟が分るではない乎。而して其著「理学鈎玄」は先生が哲学上の用語・・・ 幸徳秋水 「文士としての兆民先生」
・・・それほどに平凡な月並み、日並み、夜並みの市井の些事がカメラと映写機のレンズをくぐり録音器の機構を通過したというだけでどうして「評判の映画」となり、世界じゅうの常設館に渡り渡って人を呼ぶであろうか。もちろん観客の内の一部はたぶんそれが評判の映・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
出典:青空文庫