・・・ つい先日の新聞にのった文芸時評で、青野季吉が、文壇文学からの「脱出」が試みられている一つながりの作品として数篇の小説にふれていた。 現代文学の行きづまりが感じられてから、脱出は「雲の会」となり「ロマネスク」の愛好となって賑やかに示・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・ 折々婦人作家たちが、こういう場面で日常の社会問題をとりあげ、女としての土台から直接な気持で批判を行っているのは、今日同年輩の男の作家たちの社会時評とは遠い生活態度と対比して、様々の感想を喚びさまされる。 その国の進歩的な婦人作家た・・・ 宮本百合子 「女性の教養と新聞」
・・・日本に純粋な資本主義独裁はないから、従ってファッシズムもない、という主張をもった社会時評である。他の一つは「プロレタリア文化戦線の見透し」北厳二郎氏である。限られた枚数の中で、詳細にふれることは不可能であるが、前者において、われわれがそれを・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・大森義太郎の場合を例にとって、何故彼の映画時評までを禁じたかという、今日における検閲の基準を説明した。それによると、例えば大森氏はその時評の中に、日本の映画理論はまだ出来ていない、しかしと云ってプドフキンの映画理論にふれている。大森氏がプド・・・ 宮本百合子 「一九三七年十二月二十七日の警保局図書課のジャーナリストとの懇談会の結果」
・・・二月五日『東京朝日新聞』に文芸時評「我等の運動」を、同志林は『改造』二月号の文芸時評において、同志神近市子は『日日新聞』月評において、それぞれ反駁、批判を発表した。 私は、これらの反駁、批判を注意ぶかく読んで、自身の論文について多くのこ・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 同志貴司山治が『時事』に書いた文芸時評中にも、この作品を形象化の欠如という点からだけ批判し、「蟹工船」以後の発展、特に去年四月以後同志小林が行った本質的飛躍については触れていない。 同志小林が最近十ヵ月間の実践によって理論家と・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・ブルジョア作家、自由思想家などもその衝撃を披瀝し、三・四月の文芸時評はことごとく何かの形で、同志小林の受難にふれたのである。しかしながら、それらのブルジョア作家、批評家の大部分が、同志小林多喜二の業績を追慕しながらも、自分の属す階級の制約性・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・十月の文芸時評十月。「或る女」についてのノート。十一月。自然描写における社会性。、暮の街十二月。未開の花。、含蓄ある歳月。一九三七年この年七月、蘆溝橋事件を挑発のモメントとして日本の天皇制権力は中国に対す・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・小林秀雄氏が最近の時評でいち早く自身が提唱した日本的なるものの迷子になることを予言しており、ヒューマニズムも同様に行方知れずになるだろうと言っておられる。日本的なるものがこれらの人々の間で迷子にならざるを得ない理由というものは誰にでも推察出・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムの諸相」
『文芸春秋』四月号にのった文芸時評に対するあなたの御感想を拝見しました。別な作者の小説「希望館」についての感想を敷衍しつつ、嘗て或る時期に、実際運動をしていた人々が文学の仕事に移って来て今日示している或る種の文学活動に向って・・・ 宮本百合子 「不必要な誠実論」
出典:青空文庫