・・・その争議団が、官憲や反動暴力団を蹴とばして勇敢にモク/\と立ちあがると、その次には軍隊が出動する。最近、岐阜の農民の暴動に対して軍隊が出動した。先年の、川崎造船所のストライキに対して、歩兵第三十九聯隊が出動した。三十九聯隊の兵士たちは、神戸・・・ 黒島伝治 「入営する青年たちは何をなすべきか」
・・・インチキ新聞の記者になったり、暴力団の走り使いになったり、とにかく、ダメな男に出来る仕事の全部をやったと言っても決して言い過ぎではないかと存じます。そうして、そのダメな男は、いよいよただおのずからダメになるばかりで、ついに単身ボロをまとって・・・ 太宰治 「男女同権」
・・・アナーキスト出身で著名な婦人作家で、その才能の素質と妻としておかれている偽瞞的な環境のためにアナーキズムから社会観を本質的に高められることができず、労働者弾圧にも動員される右翼の暴力団の生活に近接する機会をもつようになって、その描きてとして・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十五巻)」
・・・ 新聞を見ると、暴力団狩りが始まっております。まずこの食糧の問題、労働賃金問題、インフレ問題は、一朝一夕に、てっとりばやい効果が示せないから、出来ることから早くやって、誰の目にも悪いとしか見えないところに掣肘を加えておくのは、賢明でしょ・・・ 宮本百合子 「社会と人間の成長」
・・・村山知義の「暴力団記」「東洋車輌工場」その他多くの新しい文学作品が現れた。中野重治の「蝶番い」「根」「鉄の話」黒島伝治の「橇」その他、これらの作品はそれぞれ歴史的な意味を持った。当時のこの文学運動の特徴は、職業的な作家が外から大衆の生活を描・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・その争いに今ならば暴力団のような形でやとわれた武士が土地の豪族の勢力と結んで擡頭して来て不在地主であった公卿を支配的地位から追い、武家時代があらわれた。やがて戦国時代に入る。ヨーロッパにルネッサンスの花が開きはじめた時代から日本が武家時代に・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・ 表面上ファシスト団体が解散を命ぜられたといっても、それはちょうど尾津組その他の暴力団が組という組織を変えて近代的な株式会社になり、ますます一般の目からはみわけにくい形で活動をつづけるのと同じような道をたどっています。そのファシスト団体・・・ 宮本百合子 「ファシズムは生きている」
出典:青空文庫