・・・支配せられたるが故に、これからもまたこのイズムに支配せられざるべからずと臆断して、一短期の過程より得たる輪廓を胸に蔵して、凡てを断ぜんとするものは、升を抱いて高さを計り、かねて長さを量らんとするが如き暴挙である。 自然主義なるものが起っ・・・ 夏目漱石 「イズムの功過」
・・・安樹兄、福井市にゆき始めて東京大震災 不逞鮮人暴挙の号外を見つけ驚きかえる。自分等葡萄棚の涼台で、その号外を見、話をきき、三越、丸の内の諸ビルディング 大学 宮城がみなやけた戒厳令をしいたときく。ぞっとし、さむけがし、ぼんやりした。が全部信・・・ 宮本百合子 「大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」
出典:青空文庫