・・・そしてフレンチは、自分も裁判の時に、有罪の方に賛成した一人である、随って処刑に同意を表した一人であると思った。そう思うと、星を合せていられなくなって、フレンチの方で目をそらした。 短い沈黙を経過する。儀式は皆済む。もう刑の執行より外は残・・・ 著:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ 訳:森鴎外 「罪人」
・・・雪の日のミルクホールで弁護士から今日の判廷の様子を聞かされ、この二十四時間に捜しあてなければ愚鈍なる陪審官達はいよいよ有罪の判断を下すであろうという心細い宣告を下されるのである。天一坊の大岡越前守を想い出させる。 さすがそこは芝居である・・・ 寺田寅彦 「初冬の日記から」
・・・あの日の命令者は、人類の平和にたいする罪悪的命令者であったということを、彼らの有罪訴因として読みあげられた十数年間にわたる彼らの行為のかずかずからあらためてこころにうちこまれた。 人類にたいして犯された侵略的な謀議の罪はさばかれた。けれ・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・同じ新聞は、極東裁判においてその人の侵略戦争に対する謀略が有罪と判決され、処刑さるべき宣告をのせた。つい先頃のことだったのに、きのうは、日本のすべての新聞が戦争謀議責任者の家族のインターヴューをのせています。これはどういうことを意味するでし・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
出典:青空文庫