・・・屋久島の恋泊村の藤兵衛という人が、松下というところで炭を焼くための木を伐っていると、うしろの方で人の声がした。ふりむくと、刀をさしたさむらいが、夏木立の青い日影を浴びて立っていた。シロオテである。髪を剃ってさかやきをこしらえていた。あの浅黄・・・ 太宰治 「地球図」
・・・描こうとする現実と平行に走っているような筆致と、現実に真直うちあたって行って描写している部分とが二様にまじりあってこの作品の中に際だっている。松下夫妻の故郷で行われる祝典のいきさつ、それに加わる松下夫婦の生活を語っている部分などは、作者が対・・・ 宮本百合子 「落ちたままのネジ」
・・・をよみ次の次の松下禅尼までよんでみた。「東遊記」のは今度図書館に行った時によんで見ようと思った、兼好法師のがあったんで「徒然草」がよみたくなってしまった。本箱から引ずり出してよみはじめたけれども分らないとこが沢山あるんでノートに書きぬきなが・・・ 宮本百合子 「日記」
出典:青空文庫