・・・その心持は今日も決して根絶していない。天皇の名において、これほどの犠牲を費した戦争が全部国際悪であり、人民の運命を破壊したものとは、いくら何でも信じきれない思いがある。悪い戦争ということになったのは、敗けた結果の批判ではないだろうか、という・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・ 私は、聰明な久美子さん達がいかなることがあろうと救世軍に入ったら、今日生産面を土台とする社会の日々の生活において婦人と子供が受けている惨苦を根絶し得るなどと愚かなことを考えられることのないことを安心してよいと信じるのである。〔一九三五・・・ 宮本百合子 「短い感想」
・・・それは戦争は根絶されるべきものであり、世界は平和をもたなければならない、という信念である。 こまかい活字で三段にくまれていたそのフランス女学生の文章のあらましは、そういう意味を語っているのだった。フランスとドイツとの伝統的な恨みというよ・・・ 宮本百合子 「私の信条」
出典:青空文庫