・・・ フランス革命の梟雄マラーを一刀で刺殺して、「予は万人を救わんがために一人を殺せり」と、法廷で揚言した二十六歳の処女シャロット・コルデーは、処刑にのぞんで書をその父によせ、明白にこの意をさけんでいる。いわく「死刑台は恥辱にあらず。恥辱な・・・ 幸徳秋水 「死刑の前」
・・・ 仏国の革命の梟雄マラーを一刀に刺殺して、「予は万人を救わんが為に一人を殺せり」と法廷に揚言せる二十六歳の処女シャロット・ゴルデーは、処刑に臨みて書を其父に寄せ、明日(に此意を叫んで居る、曰く「死刑台は恥辱にあらず、、恥辱なるは罪悪のみ・・・ 幸徳秋水 「死生」
・・・例えば原敬のごときに対しては奸獰邪智の梟雄として心から憎悪を抱いていた。原敬の眼中にはただ自党の利益のみがあって国家がない。ところで彼の政党は私利をのみ目ざす人間の集団であって、自党の利益とは結局党員各自の私利である。彼らはこの集団の力によ・・・ 和辻哲郎 「蝸牛の角」
出典:青空文庫