・・・一九四九年が、国内的に誰にとってもいい年でなかったという現実は、日本の民主主義運動のやりかたや、解放運動の科学的な理論の骨格そのものについて沈潜した再検討を必要とする人々の気持のモメントともなっている。 この荒い波は、直接間接文学に影響・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 一九四六年に組織された現在の放送委員会は日本のラジオの民主化にたいして負わされた責任において、慎重に政府案を検討した。公聴会も開いた。そして政府の放送事業法案にたいして、より具体的にラジオ民主化の可能性をもった放送委員会法要綱を作成し・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・「客観的な批判もなく、自己の正しい検討もなかった」が、新たに行動主義文学によって唱えられている能動精神は「知識階級は飽くまで知識階級として」「知識階級それ自身の特性を自覚し、飽くまでそれ自身の能力の自覚にもとづいて立ち上っているもの」と理論・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・私はこの力作の検討の上に立って作者がさらに健康な発展に向うことを切望してやまないのである。〔一九三四年十月〕 宮本百合子 「作家への課題」
・・・ここに、社会主義的リアリズムの問題がわれわれの過去の活動の再検討を召致した契機が存在すると思います。「ラップ」の発展的解消、単一なソヴェト作家同盟組織委員会の結成、および創作方法における社会主義的リアリズムの問題の提起は、一部の人々によ・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・によって「ブルジョア自由主義もしくは個人主義文学の名によって蔑視され勝ちであった西欧文学についての再検討と、自国文学に対する価値的反省」であるとし、「フランスの行動的ヒュマニズムの変革運動は芸術にあっての自由と、その自由なる芸術的表現の主張・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・ 文化の分野でも、戦後における再検討、より高い段階への発展のための研究がさかんに着手されている様子である。『雄鶏通信』十一月号やその他の雑誌にも、ごく断片的な報道がのせられた。除村吉太郎氏の翻訳で、私たちはレーニングラードの二雑誌『星』・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・ その解決を求めて、今年のブルジョア文学は前例ないほどドストイェフスキーやバルザック、ゴーゴリなど外国の古典的作品の再検討をとりあげ、明治文学研究も行われた。リアリズムの問題も、プロレタリア文学運動に新たな方向を与えた社会主義的リアリズ・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・それはもう前年度の文学現象の検討の中に、自ら現代文学の重要な発展の可能性が示されているということです。前年度の回顧の中の第一の分類に属する丹羽文雄氏が「私は小説家である」といういせいのいい論文で、社会小説を主張して私小説から脱却しようとする・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・を読んだ人は、誰でもこの作品のさっぱりとして、しかも人間らしいつよさにこころよく感銘されるのですが、この小説も『新日本文学』の収穫として、まじめに検討し、この作者の勤労者として、そして小説を書く人としての大成を期待しなければならないと思いま・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
出典:青空文庫