・・・忙しく諸味を汲み上げるあいまあいまに、山で樹液のしたたる団栗を伐っていることが思い出された。白い鋸屑が落葉の上に散って、樹は気持よく伐り倒されて行く。樹の倒れる音響に驚いて小鳥がけたたましく囀って飛びまわる。……山仕事の方がどれだけ面白いか・・・ 黒島伝治 「まかないの棒」
・・・(コロナは六十三万二百 ※‥‥‥ ) 楊の木でも樺の木でも、燐光の樹液がいっぱい脈をうっています。 宮沢賢治 「イーハトーボ農学校の春」
・・・この時には両肩と両腕とでUの字になることが要領じゃ、徒にここが直角になることは血液循環の上からも又樹液運行の上からも必要としない。この形になることが要領じゃ。わかったか。六番」兵卒六「わかりました。カンデラーブル、U字形であります。」・・・ 宮沢賢治 「饑餓陣営」
出典:青空文庫