・・・しかし、年とった農民がそのトラクターを眺めて溜息をついて疑わしそうに否定的に頭を振れば、農民作家はそれをそれとしてその農民の枠内でだけ把握し描写し、一歩突き進んで、ロシアの歴代の農民はなぜツルゲーニェフやトルストイ時代、農業機械をきらって来・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・生れるという主格の受動性を示す文法上での表現は、とりも直さず我々人間が歴代、子として親を選択することも出来ず、誕生の環境を予測することも出来ず、実に受け身に生まれたのであるという深刻な現実における関係を語っている。而も、一旦生まれた以上、我・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・ 日本の歴代の権力は、天皇制の擁護のため愚民政策しか行って来ないから、日本の大衆は自身の人民的文化の意味をしらされず、紫式部という宮廷文学者の名も何か絶対めいたものとして大衆にうちこまれています。この習慣が党の活動家の常識のうちにも反・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・現実を理解しなければ、それを愛し、そこに働きかけてゆく人間の歴代の努力のうけつぎ手として今日生きているよろこびや感動を味うことも出来ない。知は愛の母、というレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉は真実にふれている。現実を知るということと、現実はこん・・・ 宮本百合子 「若い娘の倫理」
・・・例えば、明治三十三年に出来た治安警察法第五条を撤廃させようとして、どれほど歴代の婦人解放運動家たちは努力して来たことだろう。せめて婦人が政治演説なりともきかれるように、と、何度、この悪法撤廃の請願が議会に提出されただろう。しかし、それは決し・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫