・・・ 日本の人民生活を、今日の惨苦につき入れ、戦場へやられた一人一人が平和の生活では思いもかけなかった残虐行為を行うようにしむけられたことに対して、日本の人民の戦争責任者追及は、むしろ寛大すぎるとさえいえる。二十万人の戦傷不具者・二十万人以・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・そして、治安維持法と戦時特別取締法とが、大きい残虐な口をあいて、それらの人々を噛みくだいた。見せしめとして。人々の理性を、恐怖によって沈黙させるために。むかしの領主が、はりつけを行ったとおり。『愛情はふる星の如く』の著者尾崎秀実の死はそのよ・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・吉村隊の身の毛もよだつ残虐行為は、正義のために裁かれなければならないと云いながら、近藤鶴代外務次官はその口で、太平洋同盟を云っている。日本を新しい危険と不幸にまきこむかもしれない戦争を挑発しつつ、そこにはびこるのは、根づよくのこっている日本・・・ 宮本百合子 「平和をわれらに」
・・・は、ナチスに侵略されたウクライナの農民が、手段の限りをつくした侵略軍の残虐と脅威にさらされながら、ほんとに村中がつりあげられてゆく悲劇にたえながら、人民の最後の勝利を確信し、自由と平和のために赤軍が還ってくることを信じて抵抗しつづけた一つの・・・ 宮本百合子 「ワンダ・ワシレーフスカヤ」
出典:青空文庫