・・・ と、茶碗が、また、赤絵だったので、思わず失言を詫びつつ、準藤原女史に介添してお掛け申す……羽織を取入れたが、窓あかりに、「これは、大分うらに青苔がついた。悪いなあ。たたんで持つか。」 と、持ったのに、それにお米が手を添えて、・・・ 泉鏡花 「縷紅新草」
・・・自分は士官室で艦長始め他の士官諸氏と陛下万歳の祝杯を挙げた後、準士官室に回り、ここではわが艦長がまだ船に乗らない以前から海軍軍役に服していますという自慢話を聞かされて、それからホールへまわった。 戦時は艦内の生活万事が平常よりか寛かにし・・・ 国木田独歩 「遺言」
・・・れのところにアクセントをつけて運転「準ちゃんです」「へえ、のってんのは」「獣医です」「牛でも病気になったんだろうか」「馬です」「馬も居るの」「馬や牛かってるんです」「ふーむ、馬や牛より木を植える方がいいや、第・・・ 宮本百合子 「一九二七年春より」
出典:青空文庫