・・・生きてゆく上に経済事情がどんなに決定的な条件であるかという事実も、こうして女子の失業が強制されて来れば、考えずにはいられない。一人一人の若い女性が身にあまる現代の疑問と慾求とに満ちて生きている。そこへ、選挙権が与えられた。ひしと身に迫り、身・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・だからある点ではこれらの民主主義社会は、すべてのものの幸福のためにつくられた社会であるといわれているけれども、その内部では働かすものと働かされるもの、婦人と男子の間には、幸福と不幸の開きが決定的にあるわけです。 今日の地球の面では、面白・・・ 宮本百合子 「幸福の建設」
・・・ ばれない奴等はここを先途とあらゆる組織にもぐり込み、労働者、農民の決定的な勝利を妨げようとする。 農村の集団化の過程で農村における富農とそれにくい下る旧勢力がどんな悪意に満ちた中・貧農の敵であるかを大衆の面前に曝露した。集団農場に・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・そのためにも、日本の婦人大衆はよく組織され勇敢聰明に保守勢力とたたかい、日本の民主化を決定的に前進させることを自分たちの責任として理解しています。 太平洋の上に横たわる細長い小さい島の日本、そこに生まれ、苦しみ、破壊の中から人民の国日本・・・ 宮本百合子 「国際民婦連へのメッセージ」
・・・メーデーを目ざして、われわれが反動支配階級の文化にたいして決定的闘争を高めてゆく、その血の通った一環として理解されなければならないのだ。 例えばプロレタリア・農民の男が、ファシズムに抗し、帝国主義侵略戦争に反対して勇敢に起ったとしても、・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・それらが、福田恆存にとって、「自覚せる実践をしいられるほど決定的なモメントをもっていないことです。」「すなわち八月十五日の天皇の放送ほど決定的ではない。」というのは、どういうことであるのだろうか、と。「中共の確定的勝利」は、地球上もっと・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・そうあきらめて屈従する気分が、日本の女性の感情を重く鈍くかげらしていないのならば、こんなに負担の多い日々を営んでいる日本の女性によってこそ、もっと激しく、もっと決定的に平和への渇望が表明されていいはずだと思う。 日本の帝国主義は、日本の・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・は、この作だけについて決定的なことを云われたら作者も困る作品だろうと思った。『文芸』の今回の選には満場一致のような作品がなくて、そのためかえって話題にのぼった各作品が計らず縦横から相当突こんで語られ、それにつれておのずから今日の文学の諸相も・・・ 宮本百合子 「今日の文学の諸相」
・・・も、その肝心のところに、この作家にとって主観的に理解され自意識されていて、その社会的・心理的本質の追究はまぬかれている自意識というものをおき、そこで、偶然と必然という、人類が社会と思想との発展の歴史に決定的な関係をもって来た問題が溶かされ、・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・筋として、「人間関係を表示する行為が、決定的に重要な意義をもって来る」ものとして会得した上で、今日流布している長篇小説のあれこれの内部にふれて思い到るとき、そこではどんなに屡々所謂事件の運びが文学本来の人間追求としての筋に代えられていたり、・・・ 宮本百合子 「作家に語りかける言葉」
出典:青空文庫