・・・ゴーリキイは、苦痛と期待との間で揺れる心で沈思するのであった。「此の自分を何とかしなければならない。さもないと、俺は破滅してしまう……」 人生の袋小路からの脱け路を求めつつ、ゴーリキイは自分が小さい時分、秋、日暮れ近い森で道に迷った・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・満ちた、ひるむことのない、だが決してロシアにおけるプロレタリア革命の意味と、プロレタリアートの動かすべからざる革命的任務とを十分理解しているとはいえない批評や、提案や、依頼に対して、レーニンがある時は沈思し、ある時はまだるこそうに皮肉に、あ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・ 総ての人々は、私共も、彼等も、皆、冷静に、賢い心持の時沈思して見れば、国家と云うものは、私共の一つの生活形式である事、国名と云うものが、単に一種の符牒である事を知って居るのだ。 或る地上の部分部分に生れ、生活し、死んで行く、我も彼・・・ 宮本百合子 「無題」
・・・ 丁度浮木が波に弄ばれて漂い寄るように、あの男はいつかこの僻遠の境に来て、漁師をしたか、農夫をしたか知らぬが、ある事に出会って、それから沈思する、冥想する、思想の上で何物をか求めて、一人でいると云うことを覚えたものと見える。その苦痛が、・・・ 著:ランドハンス 訳:森鴎外 「冬の王」
出典:青空文庫