・・・蛇行の波長が河床の幅に対して長いような場合に特にこれが問題になるであろう。これは地形学者の再検討をわずらわしたい問題である。 以上述べたものの多くは、言わば「並行縞」と呼ばれるべき形態のものであったが、このほかになお「放射縞」と言わるべ・・・ 寺田寅彦 「自然界の縞模様」
・・・一九〇〇年に、もう一度そこへ行ってこの旧河床の地図を作り、これが昔のタリムの残骸である事を結論した。それからもう一度ロプ・ノールへ行ってよく観察して見ると、水がきわめて浅くそうしてだんだんに沈積物で埋まりつつあるらしく見えた。そこから砂漠を・・・ 寺田寅彦 「ロプ・ノールその他」
・・・見ると、もうじつに、金剛石や草の露やあらゆる立派さをあつめたような、きらびやかな銀河の河床の上を水は声もなくかたちもなく流れ、その流れのまん中に、ぼうっと青白く後光の射した一つの島が見えるのでした。その島の平らないただきに、立派な眼もさめる・・・ 宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
・・・止めて 汽車の煙りを見守れる男田舎道乗合馬車の砂煙り たちつゝ行けば黄の霞み立つ赤土に切りたほされし杉の木の 静かにふして淡く打ち笑む白々と小石のみなる河床に 菜の花咲きて春の日の舞ふ・・・ 宮本百合子 「旅へ出て」
出典:青空文庫