・・・ 夕方藤田君が来て、図書館と法文科も全焼、山上集会所も本部も焼け、理学部では木造の数学教室が焼けたと云う。夕食後E君と白山へ行って蝋燭を買って来る。TM氏が来て大学の様子を知らせてくれた。夜になってから大学へ様子を見に行く。図書館の書庫・・・ 寺田寅彦 「震災日記より」
・・・そこから入ると、すぐ今は震災で全く跡方もなくなった法文科大学の建物があった。それは青山御所を建てたコンドルという英人が建てたとか、あまり大きくもない煉瓦の建物であったが、当時の法文科はその一つの建物の中に納っていたのである。しかもその二階は・・・ 西田幾多郎 「明治二十四、五年頃の東京文科大学選科」
・・・ 文部省にこの実状がわかっていない筈はないのに、六・三と分けて、後の三年は通信教授だけでもいいということを法文化しようとしている。あとの三年は実際に学校へ行かないでもただ通信教授をうけただけで義務教育は終ったということになる。第一、初等・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・と最悪の場合は死刑までふくむ法文を引用して見解を示している。 ところが事件の十五日夜アリバイがはっきりしているために「やや焦燥の色濃い東京地検堀検事正、馬場次席検事は」「教唆罪もあり得る」と語っている。検事のこの言葉は「あり得る」あらゆ・・・ 宮本百合子 「犯人」
出典:青空文庫