・・・何百人、あるいは何千人の暴徒に一々部署を定めて、毒薬を渡して、各方面に派遣しなければならない。これがなかなか時間を要する仕事である。さてそれが出来たとする。そうして一人一人に授けられた缶を背負って出掛けた上で、自分の受持方面の井戸の在所を捜・・・ 寺田寅彦 「流言蜚語」
・・・一七六〇年にシナ政府は三人のジェスュイトをこの地方へ視察に派遣したが目ざす地方には至るところ砂漠ばかりで求むる湖水はどうしても見つからなかった。一八七六―七七年プルジェワルスキーが探険した時にはこの湖水と思われるものが見つかったが、しかしそ・・・ 寺田寅彦 「ロプ・ノールその他」
・・・ じっさい、この「東京前衛社派遣」の弁士は貧弱だった。小さいのでテーブルからやっと首だけでている。おまけにおそろしく早口で、抑揚も区切りもないので、よくわからないが、しかし三吉には何かしら面白かった。ロシヤ革命とボルシェヴィキ。レーニン・・・ 徳永直 「白い道」
・・・ソヴェトの友の会では、去年の十月、革命記念祭に向って見学団派遣を計画し、農民代表として石川県の農民の山野芳松という小父さんが決定されるまでに運んだ。政府は、旅券をよこさなかった。農民にソヴェト同盟の真の姿を見せまいとするのである。 現に・・・ 宮本百合子 「今にわれらも」
・・・彼女はこの裁縫工場へ管理者として派遣されてから、新しい三つの職場を殖し、作業を機械化し、三百人の労働者を増す程、生産を拡大した。何故、自分は新しいソヴェト型を、自分達の工場で使おうとするか? 生産の量だけを増し、安くするだけが新しい文化の向・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
・・・それは、集団農場組織にさいして都会から派遣されてきた指導者とそこの富農とが階級的分裂をする。その心理的動機を個人的な恋愛問題嫉妬などで表現していることである。 カターエフに云わせれば、富農の妻が集団農場組織のために派遣された指導者に共鳴・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・交換学生としてイタリーへ一人の日本の若い女性が派遣される誇りは、新潟から売られて東京へ出て来る三十人の少女の心が理解するには余り縁の遠い文化の一ポーズなのである。〔一九三六年十二月〕 宮本百合子 「暮の街」
・・・聖書をもって派遣された魂の仲買人である僧侶たちに麻酔をかけられる教会・神を批判したソヴェト・プロレタリアートに「日曜日」は何を意味するであろう。要するに、七日目に一度廻ってくる休養日ではないか? では、例えばソヴェトじゅうの工場と役所とが日・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 日本プロレタリア作家同盟の各地方支部は全国にわたるプロレタリア文化・文学運動の名誉ある階級的文化派遣軍だ。任務は地方の特殊性に応じて反動文化と闘い階級的芸術を創造することだ。このことの中に、階級の半身としてある婦人大衆の文化水準を高め・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・必要に応じて日本の文化を守る会の調査団が派遣される。発足したばかりの会ではあるが、日本の民主的文化の確立と平和のためにこの会の活動が期待される部面は広汎である。 五、学生の抗議。 今議会ですべての公定価格を七割値上げした政府は官・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
出典:青空文庫