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・・・ と聞くから、ちょうど、そこに海野三千雄、ね、あの人の創作集がころがっていて、私は、海野三千雄、と答えてしまった。女は、私を三十一、二歳と思っているらしく、もすこし有名の人かと思った、とほっと肩を落して溜息をついて、私は、あのときぐらい有名・・・
太宰治
「虚構の春」
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・・・を専攻した林髞氏は木々高太郎氏であり、電気特許事務所長佐野昌一氏は海野十三氏であり、医博の正木不如丘氏はそのままの名でいろいろ作品がある。これらの科学を専攻する人たちの書くものが、日本ではいずれも探偵小説にとどまっているというのは、どういう・・・
宮本百合子
「文学のひろがり」