わたりどり【渡り鳥】
1 繁殖する地域と非繁殖期を過ごす地域とが離れていて、毎年決まった季節にその間を往復移動する鳥。ふつう南北方向に移動し、日本では、越冬するカモ・ハクチョウなどの冬鳥、繁殖するツバメ・カッコウなどの夏鳥、春・秋に一時滞在するシギ・チドリなどの旅鳥がある。《季 秋》「木曽川の今こそ光れ—/虚子」 2 外国から日本へ連れてきた鳥。クジャク・オウムの類。 3 定住せずに方々を渡り歩いて生活する人。渡り者。流れ者。
わたりどりじょうやく【渡り鳥条約】
渡り鳥および絶滅のおそれのある鳥類ならびにその生息環境を保護することを目的とする条約・協定の通称。昭和47年(1972)以降、日本と米国・オーストラリア・中国などとの間で締結された。
わたりなみ【渡り並み】
世間なみ。なみひととおり。また、世間一般。「ナンヂラワ…、—ノ人々デワナイ」〈天草本平家・三〉
わたりば【渡り場】
1 渡るべき場所。 2 渡し場。渡船場。
わたりばし【渡り箸】
「移り箸」に同じ。
わたりびょうし【渡り拍子】
1 神輿 (みこし) の渡御、山車 (だし) の運行などの際に奏する囃子 (はやし) 。 2 能・狂言の囃子事の下がり端 (は) のこと。また、それに続いて謡われる平ノリの謡。 3 歌舞伎下座音楽の一。能管・太鼓・大太鼓・当たり鉦 (がね) による鳴り物で、唄や三味線を伴う。郭 (くるわ) ・祭礼などの場面の人物・行列の出入りに用いる。
わたりぶね【渡り船/渡り舟】
「わたしぶね」に同じ。
わたりぼうこう【渡り奉公】
あちこちを渡り歩き、主人を替えて奉公すること。「女ながら—程をかしきはなし」〈浮・一代女・四〉
わたりま【渡り間/径間】
アーチ状の迫持 (せりもち) または持放 (もちはなし) の両端にある支点の間の距離。径間 (けいかん) 。
わたりもの【渡り物】
1 外国から渡ってきた品物。舶来品。「南蛮からの—」 2 祭礼などの際、練って歩く行列・山車 (だし) など。ねりもの。「その日—ありとて、にぎはひけり」〈咄・あられ酒・五〉 3 先祖から代々伝わるもの。「されば代々の—にて、朱雀院の同じ事に侍るべきにこそ」〈大鏡・三条院〉