・・・真に良人を愛した者が、次の結婚を無感覚に事務的に取扱えないのは、本当の心持でしょう。それと共に、彼女が、出来る丈、人並より僅少に思われる幸福の割前を逃すまいとするのも、嘲笑するどころのことではありません。 ここで、考えは、いや応なく、又・・・ 宮本百合子 「ひしがれた女性と語る」
・・・絶えず自分たちの人生について無感覚でいられないすべての人は、昨日という再びかえらない日をうしろにしながら、明日に向って生きている。その時間の道ゆきを、自分ではない人々はどんな力量をふるって内容づけて行ったか。そこに尽きない同感と批判とが誘い・・・ 宮本百合子 「まえがき(『真実に生きた女性たち』)」
・・・いわゆる良家の主婦たちがむすめやむすこと一しょに、それをエロ・グロ雑誌だとも感じないで、いかがわしい雑誌を平気で見ているような無感覚。どんなすじからであろうと、物と金がながれこめば、そのみなもとをせんさくしないのが利口というような社会的責任・・・ 宮本百合子 「民法と道義上の責任」
出典:青空文庫