・・・どこでも見物は熱狂し、割れるように喝采した。そして舞台の支那兵たちに、蜜柑や南京豆の皮を投げつけた。可憫そうなチャンチャン坊主は、故意に道化けて見物の投げた豆を拾い、猿芝居のように食ったりした。それがまた可笑しく、一層チャンチャン坊主の憐れ・・・ 萩原朔太郎 「日清戦争異聞(原田重吉の夢)」
・・・信者たちはまるで熱狂して、歓呼拍手しました。デビス長老は、手を大きく振って又何か云おうとしましたが、今度も声が咽喉につまって、まるで変な音になってしまい、とうとう又泣いてしまったのです。 みんなは又熱狂的に拍手しました。長老はやっと気を・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・ 戦争が終って四ヵ月後の一八五六年の夏、フロレンス・ナイチンゲールはクリミヤの天使として民衆の熱狂に迎えられながらイギリスに帰って来た。ヴィクトーリア女皇が贈ったブローチを白レースの襟の上に飾ったナイチンゲールの肖像は世界の隅々にまで流・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
出典:青空文庫