世界の経済恐慌につれて、日本でも種々の生産が低下し、それにつれて燃料原料となる石炭は二割七分の生産減を見た。北九州地方の炭坑労働者の生活などはこの頃以前にましてひどい有様になって来ている。 これは北九州の或る坑山で実際・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・交通事情は目に見えて悪化し、これまでより長い時間をかけてやっと帰宅して、これまでよりもっともっと苦労した燃料でやっと炊事をして、さてようようほっとしようとしたときは、停電だったり、たった二十燭のあかりだったりして、つぎものをするのも不便だし・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
・・・婦人達が燃料の欠乏、シャボンその他の洗剤の欠乏、繊維が悪くなって洗えもしないスフの製品が殖えたことなどで、毎日の婦人の仕事が一層困難になって来たと同じ時に、農村の婦人達が田圃で働く木綿着物がなくなった。手拭は足りなくなって来た。肥料・農具も・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫