・・・その後になって現われた批評には堺利彦氏と片山伸氏とのがある。また三上於菟吉氏も書いておられたが僕はその一部分より読まなかった。平林初之輔氏も簡単ながら感想を発表した。そのほか西宮藤朝氏も意見を示したとのことだったが、僕はついにそれを見る機会・・・ 有島武郎 「片信」
・・・ 豊吉はうなずいて門札を見ると、板の色も文字の墨も同じように古びて「片山四郎」と書いてある。これは豊吉の竹馬の友である。『達者でいるらしい、』かれは思った、『たぶん子供もできていることだろう。』 かれはそっと内をのぞいた。桑園の・・・ 国木田独歩 「河霧」
・・・そうしていま社会主義の世の中にやっとなったようで、片山総理などが日本の大将になったということは、やはり嬉しいことではないかと思いながらも、私は昔と同じように、いや或いは昔以上に荒んだ生活をしなければならん。この自分の不幸を思うと、もう自分に・・・ 太宰治 「わが半生を語る」
・・・『朝日年鑑』と片山の『ドイツ文法辞典』と、『ドイツ現代短篇小説集』お送りしました。芸文書院のことはお手数すみませんでした。早速電話したところ、現在カタログはなくて、在庫品としては単語集と童話集があるだけだそうです。『毎日年鑑』はまだ出て・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・クリスチャンということをこの頃強調する片山首相夫人は、営養失調で死んだ判事の事件に対して新聞記者のインタービューに答え「そこは奥様が少しなんとかね」と語っている。首相宅では闇買いはちっともしないでやっている。ときどきみなさまの下さるものは、・・・ 宮本百合子 「再版について(『私たちの建設』)」
・・・ところがこのあいだ、スイスのコーでひらかれた道徳再武装の第二回大会へは、選挙に惨敗して暇ができたか社会党の片山哲、菊江夫人その他一行七人が、旅費の苦労もなさそうに飛行機で出かけて行った。三井高雄氏のような東洋屈指の大財閥の一族ならば、妻をつ・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・ ローザについては又別のことも思い出された。片山潜がアムステルダムの大会で演説をしたとき、ドイツ語の通訳はクララ・ツェトキンがやり、フランス語へはローザが翻訳して大衆に伝えたという話をきいたことがあった。 片山潜は、ローザの熱情あふ・・・ 宮本百合子 「生活の道より」
・・・正業にしたがっているものは、税、税の苦しみで、片山首相が「間借り」で都民税一二〇円ですましていられたことを羨んだ。 こういう状態であってみれば、今日のメーデーに叫ばれる生活安定の要求は、この前二度の五月一日よりも痛切である。 税と云・・・ 宮本百合子 「正義の花の環」
・・・丁度首相になるときから、クリスチャンであることが人民にひろく知らされた片山哲氏について、戦争中人民は彼についてクの字さえ知っていなかったように。今日となればお互にきまりのわるい、このような辱しめの状態があったのも、日本のなかで、わたしたち一・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・人口の九割五分をしめる勤労者の主婦や、働く婦人、未亡人たちは、ただ一人として片山首相夫人のように、ひとさまが下さるものは頂いて、ヤミ買いをちっともしないで一家がまかなえるような境遇にはいないのである。〔一九四八年一月〕・・・ 宮本百合子 「ほうき一本」
出典:青空文庫