・・・有楽町で途中下車して銀座へ出、茶や砂糖、パン、牛酪などを買った。人通りが少い。ここでも三四人の店員が雪投げをしていた。堅そうで痛そうであった。自分は変に不愉快に思った。疲れ切ってもいた。一つには今日の失敗り方が余りひど過ぎたので、自分は反抗・・・ 梶井基次郎 「泥濘」
・・・ 彼はそれが自分自身への口実の、珈琲や牛酪やパンや筆を買ったあとで、ときには憤怒のようなものを感じながら高価な仏蘭西香料を買ったりするのだった。またときには露店が店を畳む時刻まで街角のレストランに腰をかけていた。ストーヴに暖められ、ピア・・・ 梶井基次郎 「冬の日」
・・・丁度今この地方は、牛酪収穫時に入っている。「十月一杯でバラビンスキー地方は一九〇ツェントネルの牛酪をバタ生産組合へ支給する予定だ。十月二十日までに一三五ツェントネルを集めた。九月の生産予定計画を我々は七五パーセントしかみたすことが出来なかっ・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
出典:青空文庫