・・・一ヵ月の蜜月のために、田園の大きい館が用意されたのは、イギリスでもエリザベス王女ぐらいのものであろう。結婚しましょうよ、というわかい人々の決心は、すぐつづいて、でも家は? と問題にぶつかる。仕方がないから当分親たちと同居ということになったと・・・ 宮本百合子 「離婚について」
・・・ついに新王は、さまざまの冒険の後に、理想の王女を遠い異国から連れてくる。この美しい妃が女主人公なのである。そこでこの妃のその後の運命を語る段になると、話は俄然『熊野の本地』に一致してくる。父王の千人の妃たちの憎悪と迫害がこの新王の美しい妃に・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・――そこでサラのあてた「バグダッドの王女」をデュウゼも取った。世界の女優はここに競争を開始した。 今宵チュウリンの街を貫ぬく叫び声は C' auche lei……ベルナアルのほかになお一人あり。 一年もたたぬ間にイタリーは小さいデュ・・・ 和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
出典:青空文庫