・・・僅か三十七歳ばかりの婦人の言葉としてきくと、これらの言葉づかいそのものさえ今日の女の心には珍奇に思える。ヨーロッパだからって女ばかりが集ってする話は同じことで、外国の夫婦喧嘩の多いことはおどろくばかりである。「日本の家庭の方が遙に善いよ・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・プロレタリア文学における作家の成長は、ブルジョア文学の分野にあるように、ただ書きかたのこつの問題ではないし、独特性の異色の獲得でもないし、ましてただ珍奇な題材の発見の問題ではない。プロレタリア作家は、日本の社会の歴史とともに階級的に成長しな・・・ 宮本百合子 「両輪」
・・・ある者は大和絵と文人画と御舟と龍子との混合酒を造ってその味の新しきを誇り、ある者はインドとシナの混合酒に大和絵の香味をつけてその珍奇を目立たせようとする。昔の和歌に巧妙な古歌の引用をもって賞讃を博したものがあるが、この種の絵もそういう技巧上・・・ 和辻哲郎 「院展日本画所感」
出典:青空文庫