・・・は三・一五当時における敵階級の野蛮な白テロを曝露するとともに、革命的労働者の不屈の意気と、その家族のさまざまの姿を描き、当時のプロレタリア文学の画期的到達点を示すものとなった。そもそもの第一歩から小説を書くということは同志小林にあっては階級・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・一九三三年の初夏、佐野学・三田村・鍋山等の共産主義者としての理論の抛棄と日本の侵略戦争を肯定する画期的な裏切りは、勤労階級の解放運動に未曾有の頓挫を来したばかりでなく、文学をも混乱におとしいれた。プロレタリア文学の領域には、前後して社会主義・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・これは、読者として婦人のへた一つの画期的な意義であったと思う。高い山に登る力が発揮されてはじめて、歴史の谷あいの深さ、陰翳の濃さが婦人にとって理解されたのであった。この時期の進歩的な婦人の読者たちが書物にむかう気持は実になまなましい欲望をこ・・・ 宮本百合子 「婦人の読書」
・・・フロレンスが、物心づいて世の中を眺めはじめた一八四五、六年代は、イギリスがヴィクトーリア女皇の統治の下に近代社会として未曾有の発展をとげた画期的な時期であった。商工業の急激な進歩、産業界全面の革新は一方に大英国の富をつみ上げてゆくと一緒に、・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・列強ブルジョアジーの第二次世界戦争の準備に対し、世界のプロレタリア作家の闘争は激化されるが、東洋のポーランドである日本においてプロレタリア作家の歴史的使命は、革命的大衆の任務とともに画期的なものがある。 林房雄は、プロレタリア作家として・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・執筆された当時から今日までには僅か五年足らずの年月しか経ていないのであるが、その間には此等の諸論策の筆者自身の身辺に重畳せる波瀾を生ぜしめた左翼運動の急激な画期的な動きがあり、同時に、プロレタリア文学の現状というものも、此等の論文を書かしめ・・・ 宮本百合子 「『文芸評論』出版について」
・・・国民文学という声が起った今日の日本の社会が当面している世界史の局面は、明らかに画期的なものである。それ故、国民文学の翹望は、近代の日本文学に一つの時期を画す性質をもっているということも一応肯定されるが、社会の歴史のいかなる高まりもそれ以前の・・・ 宮本百合子 「平坦ならぬ道」
・・・こそ、ロシアの民衆の歴史にとって画期的な内容をもつ重大なものであったことが理解される。当時三十歳前後であったプレハーノフは、一八八五年、外国で出版されたこの論文によって民衆派の各分派が従来その根本的土台としていたところのロシアの現実には資本・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・暴圧はわれわれの力を鍛え、今度の拡大協議会解散後のデモの画期的成功はどうでしょう! 暴圧の嵐はプロレタリアート・農民・インテリゲンチアの解放に向って燃える焔を消し得ないばかりか、ますます強固な鉄の団結を教える尊い証拠です。 私をついに釈・・・ 宮本百合子 「ますます確りやりましょう」
・・・その意味でも女にとって画期的な時代に入っているのではないだろうか。あらゆる若い娘が、現実の自分の日々の外へ目を走らせてそこで何かの幸福、何かの自信をつかもうと心を空にいら立つのをやめて、自分のおかれている現実をよく見て、それを理解して、その・・・ 宮本百合子 「若い娘の倫理」
出典:青空文庫