・・・ 円福寺の方丈の書院の床の間には光琳風の大浪、四壁の欄間には林間の羅漢の百態が描かれている。いずれも椿岳の大作に数うべきものの一つであるが、就中大浪は柱の外、框の外までも奔浪畳波が滔れて椿岳流の放胆な筆力が十分に現われておる。 円福・・・ 内田魯庵 「淡島椿岳」
・・・現代の紳士淑女の、別離百態と言っては大袈裟だけれども、さまざまの別離の様相を写し得たら、さいわい。 太宰治 「「グッド・バイ」作者の言葉」
・・・たとえば近頃の婦人雑誌を開いて見れば、女がいつまでも若く美しくている方法から、すっきりとした着付法、恋愛百態、輝やかしい御幸福な新家庭の写真など、素朴な若い女の目をみはらせる写真と記事とのとなりに、最近とりわけて農村生活の幸福を再認識させよ・・・ 宮本百合子 「若き世代への恋愛論」
出典:青空文庫