・・・石を投げつけられたり、みんなに目の敵にされていじめられるばかりです。」と、からすは身の不運を歎きました。 かもめは、都では、はとがみんなにかわいがられて、子供らから豆をもらって、平和にその日を遊び暮らしていることを話しました。「どう・・・ 小川未明 「馬を殺したからす」
バーンズの詩の中に、野鼠について、うたったのがある。人間は、お前達が、畠のものを食べるといって、目の敵にするけれど、同じく地から産れたものでないか。その生命をつなぐために、沢山な麦束の中から、僅かな一穂をとったからとて、決して罪になる・・・ 小川未明 「文化線の低下」
・・・ こんなに、弟をかわいがりましたのにかかわらず、お母さんは、やはり娘を目の敵にしました。お母さんは、じつにものの道理のわからない人でありましたけれど、弟の三郎はこの姉を慕い、そのいうことをよくきく、いい子でありました。 三郎は、一羽・・・ 小川未明 「めくら星」
・・・ 長い間人間の目の敵にされて虐待されながら頑強な抵抗力で生存を続けて来た猫草相撲取草などを急に温室内の沃土に移してあらゆる有効な肥料を施したらその結果はどうなるであろう。事によると肥料に食傷して衰滅するかもしれない。貧乏のうちは硬骨なの・・・ 寺田寅彦 「路傍の草」
出典:青空文庫