・・・ 不幸、短命にして病死しても、正岡子規君や清沢満之君のごとく、餓しても伯夷や杜少陵のごとく、凍死しても深草少将のごとく、溺死しても佐久間艇長のごとく、焚死しても快川国師のごとく、震死しても藤田東湖のごとくであれば、不自然の死も、かえって・・・ 幸徳秋水 「死刑の前」
・・・ 不幸短命にして病死しても、正岡子規君や清沢満之君の如く、餓死しても伯夷や杜少陵の如く、凍死しても深艸少将の如く、溺死しても佐久間艇長の如く、焚死しても快川国師の如く、震死しても藤田東湖の如くならば、不自然の死も却って感嘆すべきではない・・・ 幸徳秋水 「死生」
・・・こういう短命なものを批評するのと、彫刻や油絵のような長持ちのするものを批評するのとでは、批評の骨の折れ方もちがうわけである。一週間映写されたきりでおそらくまず二度とは見られる気づかいのないような映画を批評するのなら、何を言っておいてもあとに・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
・・・私は自分でもこれほど熱烈に世の中に出たがる心持は短命の前兆ではあるまいかというような気がする。誰にわかるものか!」 この年の九月にマリアは母や叔母たちおきまりの同勢でミケランジェロの四百年祭を見るためにイタリーのフロレンス市へ旅行した。・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
出典:青空文庫