・・・は、彼がワシントンの占領地教育問題の会議で行った演説の内容をつたえられてからは、平和を確保しようとする日本の全面講和の問題に対する一般の人々の態度のなかへも延びて来た。それらが、福田恆存にとって、「自覚せる実践をしいられるほど決定的なモメン・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・根本の原因にふれないで、そこに生じた現象だけを、おのずからほとばしる職業軍人の感情で語ることに、うそがないというだけで、こんにちファシズムとたたかって平和を確保しなければならないわたしたち日本の人民にとって、誠実な態度であるといえるであろう・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・わたしたちが生存を確保し、その上で、その人その人にゆるされた種類の幸福をとらえてゆくためには、この社会にどのような存在として自身をとらえなければならないかということについて、もういちどわたしたちをまじめにし、考え直させる本でもあると思う。・・・ 宮本百合子 「『この果てに君ある如く』の選後に」
・・・現実の諸関係についての一層のリアリズム、一層の粘り、一層の謙遜にして不屈なる作家的気魄の確保が、今日から明日へつづく諸経験を貫いて、文学的結実をなすであろうと信じる。 附記 今日の文学を語る上からは、当然小説以外の諸ジャンルの現・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・人間性の確保、個性の確立は、ここに根をおいて文学の上に主張されうる。けれども、後進の日本は、民法のブルジョア民法としての改訂さえやっと一九四六年に行う状態である。福沢諭吉が提案した明治年代の日本における資本主義興隆期にはそれを行わず、半封建・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・しかし文字の上での権利が増大したとしても、自由が与えられたとしても、結婚して一家を持ってゆくだけの収入が若い二人に確保されていない時、住むに家のないとき、親たちの扶養してゆかなければならない義務が、戦死した男の兄弟たちに代って若い妻の肩にか・・・ 宮本百合子 「自覚について」
・・・などで、生活的・文学的感覚を社会的にひろめ深めてゆこうと努力している点で注目をひいている『埼玉文学』にしろ、同人たちは、より人間らしい社会生活の確保と、その文学の確立のために尽力してゆくという大きくて永続的な人民的努力のうちに、埼玉在住の人・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・ しかし、わたしたちは、失望しないで、おばあさん、おかあさん、自分、自分の子という生きた歴史の中に、ますます多くのパーセントで、生きよい社会の条件を拡大し確保してゆくという努力をつづけることが肝要です。若い方は、どなたも御存知です。服飾・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・それとも、このごろのスポーツの流行にことよせて、一家の中で新聞を読むのは男だけだという点をとらえて、読者確保にのり出したのだろうか。 家庭の主婦の民主化の問題、選挙への積極的な関心がいわれるとき、わたしたちは新聞を読むひまさえもないとい・・・ 宮本百合子 「主婦と新聞」
・・・藤原家の権力争奪は烈しい伝統となっていて后や中宮に娘を送りこむときその親たちは、政治的権力を社光的場面で確保するために文学的才能のある宮女をその娘たちの周囲においた。装飾と防衛をかねて。その女主人を飾り、優秀な宮女の名声によってその女主人の・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
出典:青空文庫