・・・ 恐ろしい出来事の二週間後、ロザリーは愈々ロンドンに出、或る寄宿学校に入りました。私立学校によくある通り、金持の娘達がまるで威張るのでロザリーのように学資の豊かでない、伯母のかかりうどの娘は、いろいろなことで、揶揄されたり、なぶり者にさ・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・ 参吉は或る私立大学の講師をしている傍ら、近代英文学の社会観とフランス文学のそれとの比較をテーマに研究しているのであった。「うちの伍長さんだって危いもんだわ」外套のボタンをはずしながら好子が云った。「落着かないわねえ。何万人もが・・・ 宮本百合子 「二人いるとき」
・・・フロレンスはついにロンドンの医者街、ハーレー街にある私立の慈善病院の監督となることができたのである。 それにしてもフロレンスは何故そのような執着をもって社会衛生に関係した仕事などに情熱を感じたのであろうか。 無責任な幾多の伝記者・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・ その後、しばらくして各大学における運動部の内情が、具体的に描き出された雑誌記事があった。私立大のスポーツ・ボスが従来どんなにチームをくって来たか。そのために選手たちのスポーツマン・シップは危機にさらされがちであること、及び、各大学の運・・・ 宮本百合子 「ボン・ボヤージ!」
・・・文相は、父兄からのつけとどけのない大学教授たちの生活難について語り、私立学校の入学にからむ父兄からのつけとどけを、やむを得ないことだと語っています。これには漫画家の近藤日出造氏もあきれています。そうとまでは知らず、こういうありがたい文相をこ・・・ 宮本百合子 「求め得られる幸福」
・・・そこで佐野さんは、内情を知らない親達が、住職の難癖を附けずに出家を止めるのを聞いて、げにもと思うらしいのに勢を得て、お蝶より先きに東京に出て、或る私立学校に這入った。お蝶が東京に出たのは、佐野さんの跡を慕って来たのであった。 佐野さんは・・・ 森鴎外 「心中」
出典:青空文庫