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・・・こんな処にも空名虚誉を喜ばない二葉亭の面目が現れていた。 最一つ不思議な事は、この位に猫や犬を可愛がっていても、ツイぞ一度人から貰った事がない。「棄てられたり紛れたりして来たから拾って育ててやるので、犬や猫を飼うのは楽みよりは苦みである・・・
内田魯庵
「二葉亭余談」
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・・・現実の戦争を廻避して、空名の愛とか人道とかに隠れるというのは、何という卑怯さであるか。本当の愛であったならば、死を以って争うのが当然である。キリストの無抵抗主義若しくは犠牲というものは、そういうような逃避的な卑屈のものではなかった。・・・
小川未明
「反キリスト教運動」