・・・ 二かたまり、流れる白雲と青空とを背にして、雀は、嘗て見たどの雀よりも、簡潔に、強く、心を動かした。 宮本百合子 「傾く日」
・・・何と簡潔な、何と真実な声であろう。今日の私たちはこう云うことが出来る。「別人にならずして、この戦争を経験したものはありません」と。〔一九四六年二月〕 宮本百合子 「「どう考えるか」に就て」
・・・の上でますます精練と簡潔と円熟とを加えて来た四五の作家を眼中に置いて考えてみよう。彼らは皆人生を底まで見きわめたようにふるまっている。彼らはさまざまな社会現象を詳らかに巧妙に描写する腕を持っている。しかし彼らが社会の裏に住む無恥な女を描き、・・・ 和辻哲郎 「「自然」を深めよ」
出典:青空文庫