・・・これは絶版になったようです。 しばらく休んで、一昨年あたりから多くなりました。紙の質も、悪くなりました。一昨年は、竹村書房から「愛と美について」砂子屋書房から「女生徒」女生徒は、ことしの五月に再版になりました。 昨年は、竹村書房から・・・ 太宰治 「私の著作集」
・・・今かりにどれかの一枚を絶版にして、天下に撒布されたあらゆる標本を回収しそのただ一枚だけを残して他はことごとく焼いてしまったとしたら、その残った一枚は少なくも数百円、相手により場合によっては一万円でも買い手があるであろう。 一枚の五万分一・・・ 寺田寅彦 「地図をながめて」
・・・雑誌のバックナンバーなど注文すると大概絶版だと断わって来るがライプチヒの本屋に頼むとたいていはじきに捜し出してくれるのである。天下の愚書でも売れる本はいつでも在庫品があり、売れない本はめったにない。これも書物が何々株式会社の「商品」であると・・・ 寺田寅彦 「読書の今昔」
・・・『破戒』は絶版で古本をさがします。近々シンクレアの『ジャングル』を入れます。 九月十三日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 駒込林町より〕 第十二信 九月十三日 日曜日午後 ああ、あしたは日曜日であると思う。そして、今朝、起きると・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ 徳永直は、過去の著作の絶版を新聞に公表した。 話によると、徳永直という名をすてる。そして通俗小説を書く。再び情勢が好くなっても決して舞い戻らないという決心をもって間宮氏に相談をもちかけた由。そう迄決心したら其もよかろうと云ったら、・・・ 宮本百合子 「一九三七年十二月二十七日の警保局図書課のジャーナリストとの懇談会の結果」
・・・そこへこのたび近代思想社から文芸評論集編纂の話が出て、解放社の『歌声よ おこれ』は同社と協議の上絶版として、その主要な部分がこちらに再録されることになった。 つけ加えられた「一九四七年の文壇」以下はわたしたちは外国文学を自分たちの人生と・・・ 宮本百合子 「はしがき(『文芸評論集』)」
出典:青空文庫