・・・と評してあるが、試みに映画の一場面にこの二つのショットを継起せしめたと想像すれば、その観客に与える印象はおそらく打てば響くがごとくであるに相違ない。これをたとえば「爆発。ゆらぐ石門」「石のライオンが目をさまし吼えておどり上がる」という連鎖と・・・ 寺田寅彦 「映画芸術」
・・・それがたくさんあるらしいと思わせるのは時によると実に頻繁に新聞で報ぜられる飛行機墜落事故の継起である。もっとも非常時の陸海軍では民間飛行の場合などとちがって軍機の制約から来るいろいろな止み難い事情のために事故の確率が多くなるのは当然かもしれ・・・ 寺田寅彦 「災難雑考」
・・・しかしそれほど偶然的でない色々な災難の源を奥へ奥へ捜って行った時に、意外な事柄の継起によってそれが厄年前後における当人の精神的危機と一縷の関係をもっている事を発見するような場合はないものだろうか。例えばその人が従来続けて来た平静な生活から転・・・ 寺田寅彦 「厄年と etc.」
・・・その後、大槻玄沢、宇田川槐園等継起し、降りて天保弘化の際にいたり、宇田川榛斎父子、坪井信道、箕作阮甫、杉田成卿兄弟および緒方洪庵等、接踵輩出せり。この際や読書訳文の法、ようやく開け、諸家翻訳の書、陸続、世に出ずるといえども、おおむね和蘭の医・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾の記」
・・・悪業を以ての故に、更に又諸の悪業を作る。継起して遂に竟ることなし。昼は則ち日光を懼れ又人及諸の強鳥を恐る。心暫くも安らかなるなし、一度梟身を尽して、又新に梟身を得、審に諸の苦患を被りて、又|尽ることなし。」 俄かに声が絶え、林の中はしぃ・・・ 宮沢賢治 「二十六夜」
・・・すべての条件が最後の瞬間を導き出すように整然たる秩序の内に継起したようにも感じられた。そうして私は自分を鞭打った。私は自分の運命を愛しているつもりでいたが、しかし私はまだほんとうにヨブの心を解していないのだ。運命に対するあの絶対の信仰と感謝・・・ 和辻哲郎 「停車場で感じたこと」
出典:青空文庫