・・・それらの人々が、大衆の中での活動で身につけて来ている階級の具体的な特徴についての把握、複雑な現実の縺れの間に歴史の帰趨を見抜く力、その積極的な押し進めのためにあり得る人間の力についての洞察によって、今日の現実を観察して描いてゆく。その点でブ・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・日常生活を自分に律したり、義理人情に溺れ込む快さに我から溺れ込むことを、人民の心のあたたかみにとけ合うことと思いちがいしたり、初老に近づく日本人の或る感情と民衆性とが危くも縺れあっていると思わせるところさえあるのである。 これに対する態・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
・・・キイは屡々泥棒のバシュキンやけいず買いのトルーソフなどとカザンカ川を越えて野原へ、灌木の茂みの中に入ってゆき、いかがわしい彼等の商売のこと、更にもっと頻繁に、生活の複雑さについて、人間の関係の不思議な縺れ合いについて、何よりも多く女について・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
出典:青空文庫