・・・初めのうちは皆心配したり、びくついていたが、村じゅうこうなっては却って力がついて、一つかたまって減主義的な方法で耕作するために、随分富農や反動分子との闘争を経て来た。 第一次五ヵ年計画のすんだ今では全農戸の七割が集団農場化し、耕作機械、・・・ 宮本百合子 「今にわれらも」
・・・好きな髪に結って居ってもよかったのが、勇ましい髪形をしなければならなくなったり、千人針に動員されたことから次第に、動員の程度がひどくなって、終りには学校工場に働いたり、また実際に工場に行って暮したり、耕作したり、学課は殆ど出来ない状態でこの・・・ 宮本百合子 「美しく豊な生活へ」
・・・風変りな俊寛は、鬼界ヶ島で鬼と化した謡曲文学の観念を吹きはらって、勇壮に鰤釣りを行い、耕作を行い、土人の娘を妻として子供を五人生み、有王を驚殺するのである。日本の封建の伝統が近代日本の心にも伝えている生命への蔑視を、これらの作品はつよく否定・・・ 宮本百合子 「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」
・・・平明に、こだわりなく天と地とがぽーっと胸を打ち開いて、高らかな天然の樹木、人間の耕作物をいだきのせている。自動車という文明の乗物できまった村街道を進むのではあるが、外の自然を見ていると、空気に、日光に、原始的な、神代めいた朗かさ、自由さ、豊・・・ 宮本百合子 「九州の東海岸」
・・・大きな西日が鋤をひっぱる馬の背とケシの花とを越えて静かに彼方の地平線に沈もうとする曠野に、耕作機械トラクターが響き出す。うねくる個人耕作の細い畦が消えて、そこに赤旗をかかげた農業機械ステーションを中心とする集団農場が現われた。 重工業の・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 第二農場が汽車で三時間ばかりはなれたところにあり、そこには、社会主義農業の核心をなす耕作機械専門学校が建っている。 工場に五年以上働いた資格がなければ入学させない。四十人の生徒が二年後はトラクター技師として働くために勉強中だが、な・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・ 同時に、芸術篤志団、劇場労働篤志団が組織された。耕作用トラクターと一緒にひろいソヴェト全土に文化の光をまき散らそうというわけだ。作家、画家、映画労働者、劇場労働者、みんな出かけたが、技術家揃いだから、自分たちの乗って行く列車だって無・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ 集団農場で働く農民の収入は、個人耕作をやる農民の年収の倍、或は三倍だ。それはそうだろう。第一税がひどくやすい。集団農場を組織して三年間は無税だ。種代、農具代は、政府の補助がある。集団農場員が冬を越すに必要な薪を伐り出す森林はタダで国家・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・スターリングラードの耕作トラクトル工場見学に行って、ずうっとドンの炭山まで視察だ」 見学団も各工場から出る。新しいソヴェトがどんないい工場を持ってるか、集団農場、国営農場はどんなにやっているか、都会の工場からの代表が一大隊繰り出すのにも・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の夏休み」
・・・ 社会進化の過程で、奴隷という働き手が出来、その労働で富が蓄えられ、耕作・牧畜・その他の固定した土地からの収穫がふえるにつれて、部落の男、父親が、その財産の管理者として権力を発揮しはじめた。女は、その財産をうけつぐための子供をうむも・・・ 宮本百合子 「貞操について」
出典:青空文庫