・・・ 次に夜業四割引反対の闘争のために、全員をまき込むことを考え、親睦会の自治化をはかる。幹事改選に壮年のSを当選させる。そして、大衆的懇談会で革新有志二十人をつくる。国鉄。 一般に官業だから政府のつぶれぬうちは従業員の生活は保・・・ 宮本百合子 「大衆闘争についてのノート」
・・・民族は完全に独立した。自治共和国をもつようになった。今日では自由に自分の国の言葉で読み書きは勿論演劇もやる。学校教育もやる。出版される。「労働宮」の大きくない一室のドアの上に貼られた「ユダヤ語、タタール語新聞発行所」という紙は小さいものだ。・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
一九二〇年三月二十二日 郡山は市に成ろうとして居る。桑野は当然その一部として併合されるべきものである。村の古老は、一種の郷土的愛から、その自治権を失うことを惜しみ、或者は村会議員として与えられて居た名誉職を手放す事をな・・・ 宮本百合子 「日記・書簡」
・・・更に一八八四年に公表された大学規定は大学生のこれまで持っていた学内自治権を奪い「学生生活のあらゆる微細な点まで干渉する学監、副監督、守衛等によって監視され、更に警察の監視の下に置かれるようになった」のである。この事情が、デレンコフの収支を次・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・住民たちは、侵略の恐ろしい暴力とたたかったのであったが、このたびの第二次世界戦争においても、豊かに波だつ麦畑と、それを粉に挽く風車の故に、ウクライナ自治共和国は渾身の力をふるって敵に当らなければならなかった。 ウクライナの村々から、男は・・・ 宮本百合子 「よもの眺め」
・・・M氏は多く読み、英国労働組合内に友人を持ち、ロンドンに於けるインド留学生集会に招かれて自治論を慫慂した。 ロンドンでなら、しかし、いつでもM氏夫妻に会えるとは限ってない。国際連盟の労働会議があると、夫妻はジェネへ出かけた。労働代表はM氏・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・ターニャはその時、おかっぱを活溌にふりながら、自習時間がやかましいことや、自治に対してみんなが無責任だ。いたずらに外套をかくしたり本をかくしたりする者もある。我々はそんな子供なのか? というようなことを話したのだ。ターニャも学生委員の一人な・・・ 宮本百合子 「ワーニカとターニャ」
・・・日本では、婦人が地方自治体の政治に干与するための公民権さえも持たなかった。つい先頃一九三〇年全国町村長会議は、婦人の公民権案に反対を表明している。翌一九三一年満州に対する日本の侵略戦争が始まった。それからというものは、誰も知る通り、日本にお・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫