・・・同人としては中村武羅夫、岡田三郎、加藤武雄、浅原六朗、龍胆寺雄、楢崎勤、久野豊彦、舟橋聖一、嘉村礒多、井伏鱒二、阿部知二、尾崎士郎、池谷信三郎等の人々であった。中村武羅夫の論文がこの運動をまとめるきっかけとなったことは興味がある。自然主義の・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・ 舟橋聖一氏が四月号の『文芸』に「愛児煩悩」という短篇をかいておられるが、そこにも女学校入学試験のために苦しむ親の心、子の心が語られていて印象にのこった。口頭試問というものが、いろいろむずかしい問題をふくんでいるということが、この小説か・・・ 宮本百合子 「新入生」
・・・本年も終りに近づいてから、舟橋聖一などによって、目下のところでは未だ方向の明らかにされていないインテリゲンチアの行動性を煽る「リベラリズム」という立場が主張されて、「ダイヴィング」などという作のでてきていること、支配階級の大衆的文化政策とし・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・ 舟橋聖一の「毒」に示された一種の露悪的な文学の傾向があります。石坂洋次郎、丹羽文雄などもその傾向の作品を示しています。舟橋聖一、丹羽文雄などという作家は、そのときはこういう時代だったんだ、という態度でつきはなして、露悪的に戦時の現実を・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・そして、この特色的な生活態度における方向の放棄の傾向は、最近舟橋聖一氏の「新胎」という小説の結尾にもあらわれている。「新胎」では、この作者によって一二年前提唱された能動精神、行動主義の今日の姿として、実力養成を名とする現実への妥協、一般的父・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・ 永井荷風によって出発したジャーナリズムは、インフレーションの高波をくぐって生存を争うけわしさから、織田作之助、舟橋聖一、田村泰次郎、井上友一郎、その他のいわゆる肉体派の文学を繁栄させはじめた。池田みち子が婦人の肉体派の作家として登場し・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・その責任は自覚されなければならないと思う。舟橋聖一氏が昨今提唱する文学におけるリベラリズムの根源は、そういう反動的憎悪とかつて進歩の旗のにないてであったものへの報復的アナーキーの危険の上にたっているのを見て、私はつよくそのことを考えるのであ・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・ 一つの宿題 舟橋聖一氏の「新胎」「新胎」という舟橋聖一氏の小説を読みはじめて、ああ、これはいつぞや『行動』か何かで読んだのに似ていると思った。編輯後記を見たら、旧作「濃淡」に骨子を得云々・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・そういうギャップが現実にあるから舟橋聖一・田村泰次郎がこの不況にトップをきって売れているのです。 ここにAさんという人があります。Aさんという人は工場に働いています。それで文学好きです。文学を好きだという人は必ずより人間的な要求をもって・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
『文学界』に告知板というところがある。毎号そこにいろいろな作家が短い自由な感想をのせているのであるが、九月号のその雑誌に「新胎」を書かれた舟橋聖一氏も、本月はこの欄に一文をよせておられる。「新胎」を創作するに当って助力を・・・ 宮本百合子 「夜叉のなげき」
出典:青空文庫