・・・という風p.82 しかしおれは味もそっけもないアメリカ人の良識ってやつは大きらいだ。しかし、おれはアルコール橋の戦勝者 若きボナパルト将軍伝の話の方なら血がわきたつのだ。それがおれにはホメロスでもありタッソーでもある。以下 p.・・・ 宮本百合子 「「緑の騎士」ノート」
・・・荷風が今日においてもそれと正面にとりくむことはせず、自身の好みとポーズにしたがって避けて生きている人間の社会的結合の形としての結婚や家庭内の問題を、漱石は正面から時代の良識の前に押し出しつつ、彼の生きた歴史と文学の性質は、社会の鏡としての結・・・ 宮本百合子 「歴史の落穂」
・・・ 木曜会で接した漱石は、良識に富んだ、穏やかな、円熟した紳士であった。癇癪を起こしたり、気ちがいじみたことをするようなところは、全然見えなかった。諧謔で相手の言い草をひっくり返すというような機鋒はなかなか鋭かったが、しかし相手の痛い・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫