・・・余は固より政党政治に無頓着な質であって、今の衆議院の議長は誰だったかねと聞いて友達から笑われたくらいの男だから、露西亜に議会があるかないかさえ知らない。したがってこの談話には何らの興味もなかった。それで、あんまり長いから、談話の途中で失敬し・・・ 夏目漱石 「長谷川君と余」
・・・ だいたい今まで中学が少な過ぎたために、県で立てたのが二つ、その当時、衆議院議員選挙の猛烈な競争があったが、一人の立候補が、石炭色の巨万の金を投じて、ほとんどありとあらゆる村に中学を寄付したその数が五つ。 こんなわけで、今まで七人も・・・ 葉山嘉樹 「死屍を食う男」
・・・ 大正十五年二月には婦人参政建議案が衆議院で可決され、昭和二年の全国高等女学校長会議で、婦選問題が討議されたという事実は、今日の議事題目とくらべて何というちがいであろう。 昭和四年には、政友民政ともに婦人公民権承認に立ち、この年の一・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・天皇は衆議院を解散させる大権も与えられているのである。「すべて国民は」と、堂々発言した人権、或は民権の主張は、どういう論理の間違いからか「人」の規定のなかに入れられていない筈の世襲の特権・門地・特権地位者を、引出して来て、肝心の主権をそ・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
・・・我々の意見殆ど全部容認され、右議案二月末貴族院を通過す。衆議院を通過することも亦決定的なり。四六書院より戯曲集『女人哀詞』を出版。『風』なお継続。三月末完結の予定。」その後、「女の一生」「真実一路」につづいて目下「路傍の石」が東西両朝日新聞・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・こんにち、学生運動に集中されている攻撃の性質は、ことしの四月六日、菅季治氏を死なせた衆議院の特別調査委員会をホーフツさせます。「要請」という一つの文字の解釈のワナにかかって生命を絶たなければならなかった菅季治氏の悲劇を、ただ、彼の性・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
出典:青空文庫