・・・これから、若い人みんなに選挙権も被選挙権も与えられるそうだから。」と越後は、一座の長老らしく落ちつき払った態度で言い、「自由思想の内容は、その時、その時で全く違うものだと言っていいだろう。真理を追究して闘った天才たちは、ことごとく自由思想家・・・ 太宰治 「十五年間」
・・・そして、その自然な経過として、先ず身近な地方自治体への選挙、被選挙権の行使から、彼女たちの政治的発足をしている。イギリスでは一八六九年アメリカも同じ年。オーストラリアは一八九二年婦人の公民権が認められた。第一次欧州大戦の終結した一九一八年、・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・日本の一人一人のお母さんは選挙権や被選挙権をもっているばかりでなく、ほんとに母として、子供と一緒にこの社会をよくしてゆく権利と責任をみとめられたわけです。 今日の日本の主婦はうちのことで精いっぱい、というのは事実です。だからこそ、こ・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・男女はひとしく選挙権も被選挙権もあるといってもその土台になる経済的・社会的生活のひとしさはまだまだ実現していない。労働組合や、すべての民主勢力が要求している賃金、待遇改善の問題、家事の社会化の実現などは、婦人の二十四時間の内容を男の二十四時・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・つまり男も女も等しい選挙権と被選挙権とを持っていたし、女の酋長というものも、文献の中に多勢現われている。この時代は母系の制度が行われていた。一つの氏族内の母方の子供は、先任の酋長が男であろうと女であろうと選挙されればその地位を継承する権利を・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫