選集第八巻、第九巻に、ソヴェト見学時代のいろいろな報告をあつめることができたのは、思いもかけなかったよろこびである。 一九二七年の冬から一九三〇年の十一月まで、まる二年七ヵ月ほど作者は主としてモスクワに生活した。一九二・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)」
すみ子さん、こんにちは! 今日は湯浅さんとふたりで、珍しいところを見て来たから、忘れないうちにそのことを書きます。「子供の家」を見学して来たのです。 ソヴェト同盟には「子供の家」というものがあるのを、知っている? ・・・ 宮本百合子 「従妹への手紙」
・・・ 私は、来ていた人に、自分がソヴェト同盟の南の地方を見学旅行したとき或る国営農場で見たいろいろのことを話した。大きいクラブがあって夜そこで農場員と一緒に無料映画を見物した思い出は忘られぬ。農場の広っぱに国立出版所の赤い星で飾った売店があ・・・ 宮本百合子 「今にわれらも」
・・・ 工場見学隊を組織し、集団農場視察団を組織して、生産の場所に在る大衆の中へ進出したソヴェト・プロレタリア作家たちは発見した。本当に、唯物弁証主義的手法――プロレタリア・リアリズムを獲得するために、芸術は、どこまでも生産の場所になければな・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・東洋紡、伏見宮姫の見学。一円八十銭の作業服自弁、時間外に掃除。キレイにするコト。寄宿舎の南京虫をタイジしろ!○鬼足袋工業株式会社、資本百万円、寺田淳平。二百六十四名、主に少女工剣劇ファン○職工と女工と別の出入口をもっ・・・ 宮本百合子 「工場労働者の生活について」
・・・をあらゆる革命的勤労者の支持と、偉大な努力とで、第二年目を終ろうとしている。ソヴェト全土に燃えるような飛躍と建設が響き渡っている。 わたしは、その夏、ウクライナの大国営農場「ギガント」を見学に行った。鉄道の沿線からはじまって、目もはるか・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・『文学新聞』は、作家の農村への見学団募集をしはじめた。芸術ウダールニクを組織する必要をその社説に発表した。 ソヴェト市民は、映画のスクリーンの上に見た、まだ雪が真白にのこっている早春の曠野で、疎らな人かげが働いているのを。測量器をか・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 工場や集団農場から樺の木の胴乱を下げてやって来た労働者農民男女の見学団は、賑やかに討論したり笑ったりしながらノートを片手にゾロゾロ博物館の床の上を歩きまわる。が、ここへ来ると、云い合わせたように誰も彼も黙ってしまった。頬が引緊った。自・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・洋装の九人の婦人たちもそれぞれ元気そうにかたまって歩いていて、多忙にくみ立てられたニューヨークでの見学プランがしのばれた。 ニューヨークといえば、われわれのクラブの委員長であった松岡洋子さんはこのごろ水飢饉のニューヨークでどんな毎日を送・・・ 宮本百合子 「この三つのことば」
・・・が、日本女はモスクワ一大きい鉄道従業員組合のクラブで、今廊下の見学してはいられないんだ。監督を見つけ出さなければならない。今夜の催しのために、彼女のところにあるのは切符ではない一枚の紙っきれで、その紙っきれは絶対にこのクラブの監督を必要とす・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
出典:青空文庫