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・・・言はばニイチェは、師匠の仇敵を討つた勇士のやうなものである。文部省の教科書でも、ニイチェは大に賞頌して書かれねばならない。 最後に、僕自身のことを話さう。僕はショーペンハウエルから多くを学んだ。僕の第二詩集「青猫」は、その惑溺の最中・・・
萩原朔太郎
「ニイチェに就いての雑感」
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・・・お二人が首尾好く本意を遂げられれば好し、万一敵に多勢の悪者でも荷担して、返討にでも逢われれば、一しょに討たれるか、その場を逃れて、二重の仇を討つかの二つより外ない。足腰の立つ間は、よしやお暇が出ても、影の形に添うように離れぬと云うのであった・・・
森鴎外
「護持院原の敵討」