・・・当時、文学運動に関する討論の一部として児童文学のことが論議され、それがある人のその文学の到達点にまでいたっていないことについて批判が行われていた。少年らのグループが作家の団体へ、あなた方の文学上の才能を、未来の担い手であるわれわれのためにも・・・ 宮本百合子 「子供のために書く母たち」
・・・その事実の裏づけとしてソヴェト生産並施設の不充分な点について討論しているプラウダやイズヴェスチアの統計が夥しく引用されているのである。 もとよりこれらの統計は拵えものではないに違いない。本ものであればあるほど、その統計を読む人々の心には・・・ 宮本百合子 「こわれた鏡」
・・・放送討論会でも日本映画の将来については大衆の熱心で支持的な発言があった。おくれた日本の映画製作の諸条件は、これからやっと正常な軌道にのせられるはずであるのに、東宝を先頭とする経営者たちは日本文化の課題としての映画製作事業の本質を全然理解しな・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・ 私は、この文章の中で今日の文学の現実の姿を粗描し、文学以外の専門に従事する人々のためにも今日の文学的討論や作品の健全な理解に役立ちたいと思う。 昨今林房雄、小林秀雄、河上徹太郎その他の作家・評論家によって、今日の大衆が文学的関・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・ 昭和十年は初頭から能動精神、行動主義文学の討論によって、活溌に日本文学の年次は開かれたのであるが、前年、これらの生活的・文学的動議が提出された当時から、知識階級についての理解、行為性の内容等のうちに含まれていた矛盾については、その・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・日本のプロレタリア文学運動が兇暴な嵐に吹きちらされた一九三二年以来、当時、未熟なら未熟なりの誠実さで論じられていた諸課題が、討論されている最中であったその姿のままで、ちりぢりばらばらに今日文学のあちらこちらに存在している。文学における世界観・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・こういうような成果と欠陥との厳密な自己批判に立って、日本のわれわれもソヴェト同盟によって提唱されている社会主義的リアリズムの問題に関する国際的討論に参加するのであって、現在一部に現れているような理解、即ち、そら見たことか、創作における唯物弁・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・そのような作品に対する評価の点では諸氏の意見が大体一致しつつ、その点を一層具体的にするような討論が伸びず、ひるがえって、一方で、現在それらの人々の関心をひいている問題の具体的な内容の一例としてドストイェフスキー再認が語られていたり、リアリズ・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・ そこで級の大衆討論だ。隅で苦々しげに「いつだって騒動おっぱじめる原因は女の子だ!」 と、しかめっ面してイフゲニーが机に頬杖をついている。 討論は到頭男の子と女の子と、どっちが規律正しい生活が出来るか、ソヴェト権力はどんなに・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・ われわれの討論は、今や一斉にここに向けられなければならぬ。 コンミニストは次のように云う。「もしも一個の人間が、現下に於て、最も深き認識に達すれば、コンミニストたらざるを得なくなる。」と。 しかしながら、文学に対して、・・・ 横光利一 「新感覚派とコンミニズム文学」
出典:青空文庫