・・・ もしチェホフの劇作が、真直、ロシアの魂の或る時に迫っているものでなかったなら、桜の園その他の上演が、何故、現代において心理的の問題として討議されるだろう。あの夜、一つ一つの座席を埋めた数千の見物は、兎に角自分達の中にあるロシア魂にぴっ・・・ 宮本百合子 「シナーニ書店のベンチ」
・・・ 大正十五年二月には婦人参政建議案が衆議院で可決され、昭和二年の全国高等女学校長会議で、婦選問題が討議されたという事実は、今日の議事題目とくらべて何というちがいであろう。 昭和四年には、政友民政ともに婦人公民権承認に立ち、この年の一・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・これらは彼らによって討議された文学における行動性、指導性、民族性の問題にふくまれている危険であるが、この座談会で、ただ一つ文学にとって積極的なモメントとなり得る諸氏共通な欲求が認められた。それは「文学が怒りを持たねばならぬ」ということにおい・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・ 第三回大会はもり沢山の大会で、この重要な提案が時間たらずでしりきれとんぼになったばかりか、さらに次の日、ひきつづいてこの問題を討議することもされなかった。大会の空気は何となし散漫だった。「勤労者的なものを無意識にしろさえぎる空気は、新・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・ 討議という意見の発表と研究の方法を日本の人民は学ぶべきであるといわれはじめてから、まだ五年しかたたない。五年後のきょうの実状をみると、日本の一般には開放的でまた探求心のつよい討議の習慣がつくられるよりも早く、過去の半封建的日本のモラル・・・ 宮本百合子 「地球はまわる」
・・・活動方針に具体的に討議されるはずだった。 日本プロレタリア芸術運動が、国際組織に加盟するために必要な、いろいろな問題が大衆討議されるべき、画史的意味があったのだ。 いよいよ五月二十四日になった。 日曜日だ。「全線」「吼えろ、・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・しかし、三日間の大会で討議の時間は最終日にわずか二時間たらずになってしまったことは、問題の発展的な討議を不十分にした。 こんどの大会の第一日に、小説部会の報告があった。よく整理され、十分間で、一年間の小説部会としての報告が行われた。そし・・・ 宮本百合子 「両輪」
出典:青空文庫